当院では、「みみ・はな・のど・声・めまい・いびき/睡眠時無呼吸・小児耳鼻」など、耳鼻咽喉科全般の診療に幅広く対応しております。
疾患によっては、より専門的な検査や治療が必要となる場合もございます。その際には、適切な医療機関をご紹介し、スムーズに受診いただけるようサポートいたします。
こちらでは、代表的な耳鼻咽喉科の疾患を分かりやすくまとめました。
気になる症状やご不安な点がありましたら、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
【みみ】の病気
耳は大きく分けて外耳、中耳、内耳の3つの部分で構成されています。
外耳は、いわゆる耳たぶ(耳介)と耳の穴で、外界で発せられた音を拾って鼓膜に伝える役目があります。
中耳は、鼓膜の振動を増幅して内耳に伝える役目を担っています。耳管という管で、鼻の奥とつながっております。
内耳は耳の一番奥にあり、中耳から届けられた圧力波を音声信号に変換し、神経組織を通じて脳に届ける役目を担っています。
外耳・中耳・内耳の全てがきちんと機能しないと、外部の音を聞くことができなくなり、私たちの生活に大きな影響が出てしまうのです。
【1】外耳の病気
急性外耳道炎
耳の穴(外耳道)に炎症を生じる病気です。耳の痛みやかゆみ、耳だれが主な症状で、耳掃除のし過ぎや長時間の耳栓などによる湿気が原因となることがあります。
慢性外耳道炎
急性外耳道炎の後も耳掃除を続けたり、湿気の多い状態が続いたりすることで、炎症が長期化した状態です。痛みよりも痒みが強く、痒みのために耳掃除を繰り返してしまい、症状がさらに悪化するという悪循環に陥りやすいのが特徴です。
外耳道真菌症
耳の穴(外耳道)にカビが繁殖する病気です。強い痒みや耳の違和感が特徴です。耳掃除のし過ぎや湿気の多い状態が続くほか、点耳液を長期間使用することでも起こる場合があるため注意が必要です。
悪性外耳道炎
免疫機能が低下している方(高齢の方、糖尿病のある方、抗がん剤や免疫抑制薬を使用中の方など)に起こりやすい、重篤な外耳道の感染です。主に緑膿菌という抗菌薬が効きにくい細菌が原因となり、炎症が急速に進行して外耳道の骨を破壊しながら周囲に広がることがあります。
耳瘻孔
生まれつき耳の前に小さな穴がある状態です。普段は問題ありませんが、感染すると腫れや痛みが出ます。感染を繰り返す場合には手術で摘出します。
耳介血種
耳を強くぶつけた後に、耳の皮膚と軟骨の間に血がたまった状態です。柔道、相撲、レスリング、ラグビーなど、耳の衝撃が加わりやすいスポーツを行う方に多くみられます。放置すると耳の変形が残ることがあります。針を刺して溜まった血を除去し、圧迫処置を行います。
耳介軟骨膜炎
耳への外傷や外耳道炎に続いて、耳の軟骨を包む膜に感染が起こる病気です。耳が赤く腫れて痛みを伴い、通常は片側に生じます。両側に起こる場合や再発を繰り返す場合には、再発性多発軟骨膜炎の可能性があります。
再発性多発軟骨膜炎
耳、鼻、喉、気管、関節など、全身の軟骨に炎症が繰り返し起こる自己免疫性疾患(自分の体で産生した抗体が自分自身を傷つける病気)です。中年以降に多く発症し、原因不明です。両側の耳の腫れや痛み、鼻の変形、気管軟骨炎による呼吸困難などが主な症状で、関節痛や眼の炎症などを伴うこともあります。何度も生じると、耳の変形のほか、難聴、耳鳴り、めまいを生じることもあります。
小耳症・無耳症
生まれつき耳の形が小さい、または耳の形成が不十分な状態です。男性で片耳に多いとされています。耳の孔が閉じていたり(外耳道閉鎖)、中耳の奇形を伴うことが多いです。
外耳道閉鎖症
耳の孔(外耳道)が狭い、または閉じている先天性の病気です。男性で片耳に多いです。小耳症・無耳症に伴って生じることもあります。 サーファーズ・イア 潜水やサーフィンなどで冷たい水に繰り返しさらされることで、刺激となり外耳道の骨が増殖し、外耳道が徐々に狭くなる病気です。進行予防として耳栓使用が推奨されます。
外耳道異物
耳の中に異物が入った状態で、小児に多くみられます。無理に取ろうとせずに耳鼻科を受診してください。
※虫が耳の中に入った場合は、虫が動いて外耳道や鼓膜を傷つけてしまうことがあります。虫が入った側の耳を上にして横になり、オリーブ油やベビーオイル、食用油などを耳に入れ、虫が動かなくなるまで(目安として10分程度)安静にしてからお越しください。
耳垢栓塞
耳垢が詰まることで、聞こえにくさや耳がふさがった感じを生じます。専用器具で安全に除去します。耳掃除も耳鼻咽喉科の診療の一つですので、気兼ねなくお越しください。
【2】中耳の病気
急性中耳炎
かぜなどをきっかけに、耳管経由で中耳に細菌やウイルスが感染し、耳の痛みや発熱、耳だれを生じます。鼻水が出ているお子様に多くみられるため、注意が必要です。
乳様突起炎
急性中耳炎が進行し、耳の後ろの骨(乳様突起)にまで炎症が及んだ状態です。耳の後ろの強い痛みや腫れを伴い、腫れが進行すると、耳が前方に突き出てきます。重症化するとまれに炎症が頭にまで広がることもあります。症状によっては、入院治療が必要になることがあります。
滲出性中耳炎
中耳に滲出液が溜まり、痛みは少ないものの聞こえにくさが続きます。
お子様では急性中耳炎やアデノイド増殖症が原因であることが多く、耳管が炎症や物理的に閉塞しているため、中耳に液が溜まってしまいます。大人では加齢による耳管機能の低下の他、稀ですが上咽頭癌など悪性疾患が隠れていることもあります。
真珠腫性中耳炎
鼓膜の奥に陰圧がかかることで、鼓膜が陥凹し、陥凹した部分に耳垢が溜まり中耳側に入り込みます。溜まった耳垢に感染を生じることで、周囲の骨を破壊して進行する病気です。放置すると重い合併症を起こすため、専門的治療が必要です。一部ですが、先天性に真珠腫が形成される先天性真珠腫や、耳の手術後に真珠腫が形成されることもあります。
好酸球性中耳炎
アレルギーの関与する難治性の中耳炎です。中耳内でアレルギー反応が生じて、粘り気の強い耳だれや難聴が生じます。喘息、好酸球性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などアレルギー疾患を伴うことが多いです。通常の中耳炎とは異なる治療が必要です。
コレステリン肉芽腫
中耳(鼓膜の奥)にできる、慢性的な炎症性の病気です。腫瘍という名前がついていますが、がんではありません。
中耳の換気や排泄が上手くいかなくなると、中耳内部で出血した際に、血液が溜まってしまいます。その後、血液成分から生じるコレステリン結晶(脂質の結晶)に体が反応して、肉芽ができてコレステリン肉芽腫となります。
症状は中耳炎とよく似ており、耳の閉塞感、難聴、耳の痛みなどが生じることがありますが、症状が軽く、気づかれにくいこともあります。鼓膜が青紫色に見えることがあります。
治療は、換気を改善するための鼓膜チューブ留置やステロイドの投与を行い、改善に乏しい場合には手術を検討します。
鼓膜穿孔
中耳炎や外傷で鼓膜に孔があいた状態です。自然に治ることもありますが、処置や手術が必要となることもあります。
慢性中耳炎
中耳炎が長引き、鼓膜に穴が開いたままとなり、耳だれや難聴を繰り返す病態のことを言います。完全治療には手術が必要です。
鼓膜炎
鼓膜に炎症が起こる病気の総称です。外耳道炎や中耳炎が原因となり、鼓膜に炎症が及ぶことで発症します。急性鼓膜炎では、炎症が強く、耳の痛みを伴います。慢性鼓膜炎では、比較的弱い炎症が継続し、耳だれ、痒み、耳の詰まった感覚が持続することがあります。
耳硬化症
中耳にある耳小骨(つち骨、きぬた骨、あぶみ骨)の内、アブミ骨と内耳との連結部位が硬化して動きにくくなり、徐々に耳の聞こえが悪くなる病気です。若年~中年の女性に多く、妊娠・分娩により悪化することもあります。補聴器や手術で改善が期待できます。
耳小骨離断
外傷などで耳小骨(つち骨、きぬた骨、アブミ骨)が折れたり、耳小骨の連結が外れたりすることで、耳小骨の連続性が断たれた状態です。難聴を生じます。手術で改善することがあります。
耳管開放症
中耳と鼻をつなぐ耳管が開きっぱなしになる病気です。耳がつまった感覚や、自分の声や呼吸音が響いて聞こえるといった症状がみられます。前かがみになったり、横になったりすることで症状が改善することがあります。急激な体重減少・脱水、妊娠、ビルの内服、透析などが要因として挙げられています。
耳管狭窄症
耳と鼻をつなぐ耳管がうまく開かず、閉じた状態が続いてしまう病気です。耳が詰まった感じや聞こえにくさを生じます。かぜなどの鼻の感染症が原因となることが多いですが、大人の場合にはまれに上咽頭癌などの悪い病気が隠れている可能性があるため、注意が必要です。
【3】難聴を生じる病気
突発性難聴
突然、片側の聞こえが悪くなる病気で、めまいを伴うこともあります。原因ははっきりしていませんが、血流障害やウイルス感染などが関与すると考えられています。難聴を生じるのは一度きりで、早期治療が回復の鍵となります。
低音障害型感音難聴
突発性難聴と同様に、突然片側の聞こえが悪くなりますが、低い音に限って聴力が低下するのが特徴です。メニエール病と同じ病態と考えられており、治療もメニエール病に準じて行います。
加齢性難聴
年齢とともに徐々に進行する難聴で、会話が聞き取りにくくなるのが特徴です。両耳ともに、アラーム音などの高い音から聞こえにくくなっていきます。対応としては補聴器が基本ですが、周囲の方がはっきりした口調でゆっくり話すことや、静かな環境で会話するなどの配慮も大切です。
騒音性難聴・音響外傷
大きな音に長期間さらされること(工場などの職場騒音、長時間の大音量での音楽鑑賞など)や、突然の大きな音(爆発音・コンサートなど)によって起こる難聴です。一度障害を受けた聴力は回復しにくいため、耳栓の使用や音量管理など予防が最も重要です。
イヤホン難聴(ヘッドホン難聴)
イヤホンやヘッドホンで大きな音を長時間聞き続けることで起こる騒音性難聴の一種です。内耳の有毛細胞という音を感知する細胞がダメージを受けることで聴力が低下します。
WHO(世界保健機関)では、難聴を防ぐための許容基準として、以下を目安としています。
- 成人:80dBで1週間あたり40時間
- 若年者:75dBで1週間あたり40時間
イヤホン難聴は、日頃の習慣で予防することができます。
① 音量を適切に保つ
周囲の音が聞こえる程度の音量にしましょう(機種にもよりますが、最大
音量の60%程度が目安です)。ノイズキャンセリング機能付きイヤホン」
を使用すると、音量を上げずに快適に聞くことができます。
② 定期的に耳を休ませる
長時間の連続使用は避け、1時間ごとに10分程度、耳を休ませる習慣を
つけましょう。
機能性難聴
中耳炎などの明らかな病気がないにも関わらず、聞こえにくさを訴える状態です。診察や聴力検査の結果と自覚症状が一致しないことが特徴で、心理的要因が関与する場合もあります。まずは実際に難聴が無いか丁寧に検査する必要があります。
耳鳴り(耳鳴症)
耳鳴りとは、周囲に実際の音がないにもかかわらず「音が聞こえる」と感じる現象です。耳鳴りには、本人にしか聞こえない自覚的耳鳴りと、血流の音や筋肉の収縮などが原因で他者にも聞こえることがある他覚的耳鳴りの2種類があります。耳鼻咽喉科を受診される方の多くは自覚的耳鳴りで、その音は本人にしか聞こえません。
継続的に耳鳴りを自覚している方のうち、約80%の方は耳鳴りがあっても日常生活を大きな支障なく送れています。一方で、約20%の方は強い不快感や苦痛、不安を感じており、治療やサポートが必要といわれています。
耳鳴りの原因は様々ですが、難聴を含む耳の疾患が背景にあることがあります。気になる症状が続く場合や、生活に支障を感じる場合は、早めに耳鼻咽喉科へご相談ください。
薬物性難聴
一部の薬剤(抗菌薬、抗がん剤、利尿薬など)の副作用で起こる難聴です。投薬歴の確認が重要です。原因として比較的知られている薬剤としては、以下のようなものがあります。
抗菌薬:ストレプトマイシン、カナマイシン、フラジオマイシン、
ゲンタマイシン、ミノサイクリン、エリスロマイシン
利尿薬:フロセミド
抗がん剤:シスプラチン
抗炎症薬:アスピリン
ムンプス難聴
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)に伴って、まれに起こる難聴です。多くは片側の聴力が高度に障害され、治療を行っても改善しにくいとされています。そのため、予防接種が非常に大切です。
聞き取り困難症/聴覚情報処理障害
「音は聞こえているのに、言葉として理解しにくい」「会話が聞き取れない」といった症状がみられる状態です。聴力検査では異常が認められませんが、聞こえた音を脳で言葉として処理する働きに障害があると考えられています。現時点で確立した治療法は無く、静かな環境で話を聞く、話し手がはっきりとゆっくり話す、字幕を活用するなど、聴力以外の方法を併用した工夫が有効です。
【4】悪性腫瘍
聴器癌(外耳道癌)
耳にできる癌は非常に稀で、100万人に1人程度といわれています。耳は外耳(耳介~外耳道)、中耳(鼓膜とその奥)、内耳(一番奥の三半規管があるところ)の3つに分かれていますが、癌の発生頻度は外耳>中耳>内耳の順で、ほとんどが外耳道に発生します。
主な症状として、耳の痛み、血性の耳だれ、腫瘍が大きくなることによる耳の詰まり感や難聴などがあります。
特に外耳道癌は耳かき習慣との関連も指摘されており、注意が必要です。
【はな】の病気
鼻は、大きく分けて2つの重要な役割があります。
①においを嗅ぐ機能です。これにより、腐敗した食べ物の臭いを嗅ぎ分けたり、有毒ガスなどを察知したりして、食中毒やガス中毒などの危険を避けることができるのです。
②呼吸器官としての機能です。ご承知のとおり、人間は口からも呼吸はできます。しかし、健康を維持していくには鼻呼吸が基本となります。鼻から吸い込まれた空気は、鼻の中を通る間に細菌や有害物質を除去し、適度に温められてから肺に届けられます。これによって風邪などの発症リスクを減らすことができます。
花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)
スギやヒノキ、草花などの花粉が原因で、くしゃみ・鼻水・鼻づまり、目のかゆみなどが出ます。毎年同じ時期に症状が出るのが特徴で、症状が出る前から治療を開始することで、症状の軽減が期待できます。
スギ花粉症に対しては、体質改善を目的とした舌下免疫療法を行うことも可能です。
通年性アレルギー性鼻炎
ダニやハウスダストなどが原因で、一年を通して鼻の症状が続きます。生活の質に影響するため、体質や症状に合わせた治療を行います。ダニに対しては、舌下免疫療法を行うこともできます。
花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)
花粉症のある方が、特定の果物や野菜を食べた際に、口やのどのかゆみや違和感を生じる病気です。果物・野菜のアレルゲンと花粉のアレルゲンの一部が似ているために起こります。加熱調理することで症状が出ずに食べられることがあります。
薬物性鼻炎
血管収縮薬を含む点鼻薬の使い過ぎることにより、かえって鼻づまりが悪化する状態です。市販の点鼻薬にも注意してください。血管収縮作用後のリバウンド現象が原因で、改善には点鼻薬の中止や適切な治療が必要です。
寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)
急激な温度変化によって自律神経が過剰に反応し、鼻の粘膜の血管が広がることで生じる症状です。名前に「アレルギー」とありますが、実際にはアレルギー反応ではありません。一般的に、気温差が7
℃以上になると症状が出やすいとされています。
主な症状は、鼻水・鼻づまり・くしゃみで、場合によっては頭痛や倦怠感などの症状も伴うことがあります。
予防としては、自律神経が乱れにくい生活を心がけることが大切です。規則正しい生活、適度な運動、十分な休息、バランスの良い食事を意識してみてください。また、室内外の温度差が大きくなりすぎないよう調整することも有効とされています。
鼻腔異物
鼻の中に異物が入った状態で、小児に多くみられます。無理に取ろうとせず、早めに耳鼻科を受診してください。特にボタン電池が入った場合は、電流によって鼻の組織が損傷される危険があるため、夜間であっても速やかに医療機関を受診してください。
鼻前庭炎/鼻癤(びせつ)
鼻の入口(鼻毛の生えている部分)を触り過ぎたり、鼻毛を抜いたり、鼻をかみ過ぎたことをきっかけに、感染が起こる病気です。鼻の入口や鼻先が赤く腫れ、強い痛みを伴います。鼻をいじらないようにするのが大切です。
急性鼻炎(かぜ症候群)
いわゆる鼻かぜで、鼻水や鼻づまりが主な症状です。炎症が広がることで、喉の痛みや咳を伴うこともあります。原因の大半(80~90%)はウイルス感染で、多くの場合は自然に改善しますが、悪化すると細菌感染につながります。その場合には、抗菌薬による治療を行います。
急性副鼻腔炎
急性鼻炎に続いて、鼻腔とつながっている副鼻腔にまで炎症が広がった状態です。黄色い鼻水や、頬や額の痛み、重い感じなどの症状を伴います。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
急性副鼻腔炎が長引き、副鼻腔内の粘膜が腫れることで、鼻との通り道(開口部)がふさがれ、炎症が慢性的に続いている状態です。鼻づまり、後鼻漏(鼻水がのどに流れる感じ)、顔面の圧迫感などが持続します。疑われる場合には、内視鏡検査やCT検査を行い、状態を詳しく評価します。
好酸球性副鼻腔炎
アレルギー反応によって生じる副鼻腔炎です。慢性副鼻腔炎の症状に加え、嗅覚障害が起こりやすいことが特徴とされています。喘息などのアレルギー疾患を合併していることも多く、再発しやすいため、長期的な管理が必要です。
副鼻腔真菌症
副鼻腔内にカビが増殖する病気で、片側だけの鼻症状がみられることが特徴です。多くはカビが副鼻腔内にとどまる「非浸潤型」ですが、体の抵抗力が低下している場合には、カビが周囲に広がる「浸潤型」となることがあり、治療方法が異なります。
歯性上顎洞炎
上の歯の感染(虫歯、歯周病)が副鼻腔に波及することで生じる副鼻腔炎です。CT検査で診断を行うことが多く、歯科との連携治療が重要です。
鼻茸(鼻ポリープ)
鼻茸(鼻ポリープ)とは、鼻や副鼻腔の粘膜が慢性的な炎症によって腫れてできものです。痛みを生じることはほとんどありませんが、鼻づまりやにおいの低下など、生活の質に大きく影響することがあります。
鼻茸は単独でできることもありますが、背景に慢性副鼻腔炎(蓄膿症)や好酸球性副鼻腔炎など、長く続く炎症性疾患が存在することが多い印象です。内視鏡やCT検査などで、背景にある病気の評価も大切です。
副鼻腔嚢胞/術後性上顎嚢胞
副鼻腔と鼻腔がつながっている部分が閉塞し、粘液がたまることで嚢胞ができ、徐々に大きくなる病気です。過去に副鼻腔手術を受けた場合にできる嚢胞は、術後性上顎嚢胞と呼ばれます。嚢胞が大きくなると、頬の腫れや痛みを伴うことがあります。診断には画像検査を行い、必要に応じて手術で嚢胞を開けて中の内容物を取り除きます。
嗅覚障害
においが分かりにくくなる状態です。原因は様々で、鼻の奥の嗅裂(においを感じる嗅神経がある部位)に空気が通らない・炎症でにおいを感じられない・脳でにおいの情報を認識できないなどが考えられます。内視鏡検査やCT、必要に応じて頭のMRIで精査し、原因に応じた治療を行います。
鼻中隔弯曲症
鼻の左右を分ける仕切り(鼻中隔)が曲がることで、鼻づまりの原因となる病気です。成長過程で生じる場合や、鼻をぶつけたことによって曲がることもあります。症状が強い場合は手術を検討しますが、80~90%の人に程度の差はありますが弯曲があると言われています。
鼻出血症
鼻血で受診された場合、鼻腔内を観察し、出血源を確認して最適な止血法をご提案します。鼻血で最も多い部位は「キーゼルバッファ部位」と呼ばれ、鼻の孔のすぐ奥です。鼻血が出た場合は、前かがみの状態で鼻翼(鼻の孔すぐのところ)を指でしっかり圧迫しながら受診してください。
鼻骨骨折
けんか、交通事故、スポーツなどで鼻に強い力が加わり、鼻の骨が折れた状態です。受傷直後は鼻が腫れて見た目だけでは判断が難しいことがあり、CT検査で骨折の有無を確認します。骨折した骨は2週間以上経過すると癒着して動かなくなるため、それまでに整復(元の位置に戻す処置)が必要です。
眼窩吹き抜け骨折
目の周囲に強い力が加わり、眼のまわり(眼窩)の骨が折れた状態です。骨折部から眼球のまわりの脂肪や筋肉が少し出ることがあります。症状としては、物が二重に見える(複視)や眼球の痛みが出ることがあります。CT検査で診断し、軽症では薬で対応、症状が強い場合は薬を使いながら手術で整復します。鼻をかむことで、空気が鼻から眼窩に流れ込むことがあるため、鼻をかまないようにしてください。
視神経管骨折
目の周囲に強い力が加わり、視神経が通る骨の管が折れた状態です。骨折自
体で視神経が直接傷つくことは少ないですが、出血やむくみにより視神経が圧迫され、視野障害や視力低下を生じることがあります。治療は眼科と連携し、薬剤による圧迫解除や、必要に応じて早期手術が行われます。
鼻副鼻腔良性腫瘍
鼻や副鼻腔にできるできもののうち、多くは鼻ポリープですが、表面の凹凸、硬さ、一側性、赤色、拍動などがある場合は腫瘍性病変の可能性があります。良性腫瘍の代表的なものとして、内反性乳頭種、若年性血管線維腫、髄膜瘤・髄膜脳瘤などがあります。診断にはCTやMRI、必要に応じて生検による病理学的検査が行われます。
鼻副鼻腔(癌)
鼻腔や副鼻腔(上顎洞、前頭洞、篩骨洞、蝶形骨洞)に発生する癌で、特に鼻腔、篩骨洞、上顎洞に多く見られます。喫煙や慢性副鼻腔炎(蓄膿症)が原因となることがあります。診断は内視鏡やCT・MRIなどの画像検査で評価し、生検により確定診断を行います。
慢性上咽頭炎
上咽頭とは「鼻の奥で、のどの最も上の部分」、つまり鼻とのどが合流する部位を指します。上咽頭には、自律神経線維が豊富で、身体の様々な不調との関連が指摘されています。構造上、鼻の奥に位置するため、刺激や炎症が残りやすいという特徴があります。風邪、インフルエンザ、コロナなどの感染症では、鼻やのどの炎症が上咽頭まで広がり、一時的に上咽頭炎を起こすことがあります。通常は自然に治まりますが、炎症が完全に引かず、軽度の炎症が持続してしまう場合があります。この状態を慢性上咽頭炎と呼びます。慢性的な不快感や違和感が続くことが特徴です。
当院では、慢性上咽頭炎が疑われる場合に Bスポット療法(上咽頭擦過療法)
をご提案しております。気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
【のど】の病気
のどは、①空気の通り道、②声を生み出すための発声器官、③飲食物を通過させる消化管という3つの役割があります。どれも重要な機能ですので、この部位が病気になると生活の質が大きく低下します。しかしながら、のどは日常生活のあらゆる場面で休むことなく働いており、風邪やアレルギー、乾燥、声の使いすぎなど、影響を受けやすい繊細な部位でもあります。
さらに、のどの病気では、のどの痛みや違和感、声のかすれ、飲み込みづらさなど、どなたも一度は経験のあるような症状が起こりますが、程度が軽いものから入院での治療が必要な病気まで幅広く見られます。
症状に対して、クリニックを受診するべきかどうか判断に迷われることもあるかと思います。どうぞ気兼ねなくご相談頂ければ幸いです。
急性咽頭炎
いわゆる「のど風邪」です。のどの粘膜が炎症を起こし、痛みや発熱が出ます。多くはウイルス感染が原因です。急性鼻炎や喉頭炎を併発することもあります。
慢性咽頭炎
喉の粘膜のリンパ組織に慢性の炎症が生じた状態です。急性咽頭炎が治りきらなかった場合や、タバコや飲酒、鼻の感染症による持続的な後鼻漏が炎症を引き起こすことがあります。
症状はそれほど強くなく、のどの違和感、乾燥感、異物感があります。
伝染性単核球症
主にEBウイルスが咽頭に感染することで生じます。唾液などの接触を介して感染することが多いです。
発熱、咽頭痛、頸部リンパ節の腫脹の他、肝臓・脾臓が腫れることがあり、お腹に力がかからないように注意が必要です。
ウイルス感染には抗生剤は効果がないため、対症療法を行いますが、細菌感染が併発していると判断した場合には、抗生剤を処方させて頂くこともあります。
急性扁桃炎・扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍・頸部膿瘍・縦隔膿瘍
中咽頭の両脇にある口蓋扁桃にウイルスや細菌が感染した状態です。
感染が口蓋扁桃に限られる状態を「急性扁桃炎」といい、感染が口蓋扁桃の周囲にまで広がった状態を「扁桃周囲炎」といいます。さらに進行すると、膿が形成・貯留して「扁桃周囲膿瘍」となります。さらに進行して頸部まで膿が流れると「頸部膿瘍」となります。重症の場合には膿瘍が胸の奥(縦隔)まで広がると「縦隔膿瘍」となります。
急性扁桃炎および扁桃周囲炎は、強い咽頭痛が主な症状で、お薬による治療が中心となります。
扁桃周囲膿瘍は、口が開かなくなる(開口障害)を伴うことがあります。外来で口の中から排膿処置をしながら抗生剤で治療します。食事ができない方や症状の強い方には、入院での治療をご提案します。
頸部膿瘍および縦隔膿瘍は、入院はほぼ必須となります。膿瘍がどの位置まであるか画像検査で確認したうえで、緊急手術による排膿処置を行います。
溶連菌感染
急性扁桃炎の一種で、A群β溶連菌という細菌が原因です。発熱・強いのどの痛みが出やすく、合併症に注意が必要です。抗原検出キットを用いて判定します。
慢性扁桃炎
口蓋扁桃の炎症が3か月以上続く状態です。急性扁桃炎と比較して症状は軽く、長期にわたるのどの違和感や口臭を認めます。診察で口蓋扁桃の発赤や膿栓(白い塊)が確認されることがあります。
反復性扁桃炎
口蓋扁桃に細菌が常在化し、ストレスや風邪などで抵抗力が低下した際に急性扁桃炎を繰り返す病気です。年4回もしくは2年で5~6回以上繰り返す場合に慢性扁桃炎といいます。
日常生活にも支障が生じるため、口蓋扁桃の摘出も考慮されます。
扁桃病巣感染症
扁桃の慢性的な炎症によって、免疫が過剰に反応し、全身に過剰な免疫反応を生じてしまう病気です。IgA腎症、掌蹠膿疱症、胸肋鎖骨過形成症などが知られており、症状により扁桃摘出術が検討されます。
急性喉頭炎
喉頭の粘膜に炎症が生じる病気です。原因の大半はウイルス感染です。風邪の一部症状として生じることが多いです。
声の擦れ、乾いた咳、声が出ない、喉の乾燥感などの症状が生じることがあります。
慢性喉頭炎
喉頭に慢性の炎症が生じる病気です。タバコ、声の出し過ぎ、鼻の感染症による後鼻漏、逆流性食道炎などが原因となります。
声のかすれや乾いた咳、のどの違和感や異物感を生じます。
急性喉頭蓋炎
喉頭の一部である喉頭蓋に細菌感染が起こる病気です。咽頭痛や嚥下時の痛みを認めますが、喉頭蓋の腫れが強くなると、空気の通り道が狭くなり、声がこもる、息苦しい、呼吸する時にゼーゼー音が出ることがあります。緊急性が高く、早めの受診が必要です。
喉頭帯状疱疹
水痘・帯状疱疹ウイルスが喉の神経に沿って感染し、主に喉頭の片側に粘膜疹や強い痛みを生じる病気です。神経に損傷を起こすこともあり、声帯の動きが悪くなり(声帯麻痺)、声のかすれを引き起こすことがあります。
内視鏡で喉頭片側の粘膜疹を確認することで診断されます。
咽喉頭逆流症
逆流性食道炎などにより、逆流してきた胃酸が食道だけではなく喉も傷つけてしまう病気です。慢性喉頭炎や喉頭肉芽腫など他ののどの病気の原因となることもあります。症状も喉の違和感や声のかすれなど様々です。慢性喉頭炎や喉頭肉芽腫などの背景に咽喉頭逆流症を疑った場合には、消化器内科と協力して評価・治療をご提案させて頂きます。
喉頭アレルギー
喉のアレルギー反応です。アレルギー素因(アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、喘息などの病気をお持ちであったり、ご家族がお持ちであったり)のある、40歳以上の女性に比較的多いといわれています。
喉の違和感やかゆみ、咳が続き、アレルギー素因のある方は喉頭アレルギーの可能性も疑われます。
口内炎
口腔中の炎症性疾患の総称です。粘膜疹や潰瘍ができ、口腔内の痛みや不快感を伴います。原因はさまざまで、難治性の潰瘍の場合には悪性疾患の可能性も疑います。
口腔内真菌症(口腔カンジダ症)
口の中にカンジダというカビが増える病気で、白い苔のような付着物がみられます。カンジダは、元々人の口腔内に常在しており、免疫不全状態、ステロイドの使用、免疫抑制剤の使用、悪性腫瘍の抗がん剤治療中、長期にわたる抗菌薬使用、糖尿病などが要因とされています。
舌炎
口内炎の中でも、特に病変が舌に限局しているものを舌炎と呼びます。
舌炎は原因不明の炎症や外傷の他、鉄欠乏性貧血、シェーグレン症候群など全身疾患に伴って生じることもあります。うがいや軟膏など局所の治療の他、全身疾患が背景にある場合には疾患の治療を行います。潰瘍となっている場合には舌癌との鑑別が必要です。
歯肉炎
口内炎の中でも、歯肉に炎症が及んだ状態を歯肉炎と言います。歯垢や歯石の沈着、合わない入れ歯などが原因となることが多いです。
発赤、腫脹の他、歯肉の疼痛・痒み、口臭、歯磨きの際に出血を生じます。
歯垢・歯石の除去など口の中を清潔に保つことが重要です。
口腔乾燥症
口の渇きが続き、食事や会話がしにくくなります。原因は多岐にわたります。加齢、薬の影響、全身性疾患、心理的要因など原因は様々です。
唾液の減少による口腔内の感染を予防するため、口腔ケアが重要です。
シェーグレン症候群
自己免疫の異常により、唾液腺や涙腺に炎症が生じて機能が低下し、口や目が乾燥する病気です。
口の中が乾燥してしまうことで、飲み込みが悪くなったり、虫歯のリスクが上がります。また、目が乾燥してしまうことでドライアイの原因になります。必要に応じて内科と連携して診療を行います。
咽喉頭異常感症
口やのどに違和感が続く病気で、痛みを伴わないことが特徴です。明らかな原因が見つからないものもありますが、局所に病気があるものから、自律神経失調症などのような全身疾患が関与しているもの、心身症などのような精神的要因が関与しているものまで様々です。
まれに悪性疾患が見つかることもあるため、十分な検査を行う必要があります。
茎状突起過長症
耳の下からのどに茎状突起という骨があり、通常は2.2~2.5cmの長さですが、3cm以上の長さの方がいます。
茎状突起が長いことで、周辺にある喉の神経、頸動脈、扁桃腺が圧迫されることで、飲み込む時に痛みが出たり、喉の違和感、耳や頸部のまわりに痛みが広がる事があります。
顎関節症
食いしばりや歯ぎしりなどを要因として生じる、顎の関節と周囲の筋肉の不調です。口を開けた際に痛みや、カクッと音(クリック音)がしたり、口の開けにくさが出ることがあります。
痛みに対してお薬を使いつつ、必要に応じて歯科・口腔外科と連携して治療します。
唾石症
唾液の通り道に「唾石」ができる病気で、特に顎下腺に多くみられます。食事時に一時的な腫れや痛みが生じるのが特徴で、唾液が流れにくく、うっ滞することで感染症を生じることもあります。
唾石とは、口腔内の雑菌が、唾液管(唾液の通り道)を唾液腺に向かって逆流し、まとまったものに唾液の成分が集積して塊となったものです。
薬や唾液腺マッサージで様子を見ますが、取れない場合は手術を検討します。
唾液腺炎
唾液腺に細菌やウイルスが感染し、腫れや痛みを生じる病気です。発熱や悪寒を伴うこともあります。
細菌感染では、唾液腺を圧迫した際に口腔内に膿が排出されることがあります。唾液腺炎を繰り返す場合、背景に唾石症が隠れている可能性があります。
ウイルス感染では、流行性耳下腺炎(ムンプスウイルス)などが代表的です。
治療は、細菌性の場合は抗生剤や解熱鎮痛剤の投与、唾石が原因の場合は摘出に関してもご案内します。流行性耳下腺炎の場合には、対症療法が中心となります。
ガマ腫
舌の下にある唾液腺の通り道が傷つき、唾液が漏れて口腔底(舌の下部)に液体の塊(嚢胞)ができる病気です。舌の下や顎の内側に柔らかな腫れができ、通常は痛みがないことが多いですが、大きくなると飲み込みや発音に支障が出る場合があります。
治療として、嚢胞に針を刺して、中身を吸引して膨らみを一時的に改善することもあります。しかし、再発しやすいため、嚢胞を大きく切開したり、舌下腺ごと摘出する手術を行う場合があります。
唾液腺腫瘍
唾液腺にできる腫瘍で、良性と悪性があります。
耳下腺に多く、顎下腺は半数が悪性、舌下腺は稀ですが悪性の可能性が高いとされています。しこりが主症状で、悪性では痛みや顔面神経麻痺を伴うことがあります。
治療は原則として手術による摘出です。
舌白板症
舌の表面に白く厚い斑状病変ができた状態です。慢性的な刺激(熱い飲食)や喫煙・飲酒習慣が関与するとされます。前癌状態と考えられ、生検で悪性かどうかを確認して、悪性であれば舌癌としての治療を行います。悪性でなくても、悪性化のリスクがあるため、慎重な経過観察が必要です。
口腔癌
舌・歯ぐき・口の粘膜にできる癌で、舌癌が多いです。治りにくい口内炎やしこり、痛みや出血に注意が必要です。疑われる場合は生検や画像検査で診断します。
上咽頭癌
鼻の奥(上咽頭)にできるまれな癌で、一部ではEBウイルスの関与が知られています。進行すると鼻づまり・鼻血、耳の詰まり、首のしこりで見つかることがあります。生検や画像検査で診断します。
中咽頭癌
口の奥の中咽頭にできる癌で、喫煙・飲酒・HPV感染が関与します。片側ののどの痛みや飲み込みにくさが徐々に続く場合は注意が必要です。生検や画像検査で診断します。
下咽頭癌
のどのさらに下部にできる癌で、50~60代男性に多く、喫煙・飲酒が危険因子です。飲み込み時の違和感や痛み、声の変化が出ることがあります。生検や画像検査で診断します。
喉頭癌
声帯を含む「声の出る場所」にできる癌です。主な症状は声がれで、進行すると痛みや息苦しさ、血痰が出ることがあります。疑われる場合は内視鏡や生検で診断します。
首、その他の病気
首には、リンパ節・神経・筋肉・甲状腺・皮膚など、様々な組織が集まっています(甲状腺は別項目で記載しております)。そのため、首の腫れや痛み、しこり、むくみ、顔の動きの異常など、幅広い症状が現れることがあります。
耳鼻咽喉科では、これらの症状がどの臓器に由来するのかを丁寧に診察し、必要に応じて検査を行いながら、原因を明らかにしています。
首の症状は、感染症による一時的なものから、アレルギー、免疫の異常、腫瘍性疾患まで多岐にわたります。早期に適切な評価を行うことで、治療方針が明確になり、安心して過ごしていただけるようになります。
ここでは、耳鼻咽喉科でよくみられる「首・その他の病気」について、代表的な疾患を紹介します。
頸部リンパ節炎
首のリンパ節が腫れて痛みを伴う病気です。多くは風邪などの感染性に伴って一時的にリンパ節が腫れる「反応性リンパ節腫脹」で、発熱やのどの痛みを伴うことがあります。細菌感染が疑われる場合には抗生剤で治療します。経過が長引く場合や通常と異なる経過をたどる場合には、結核性リンパ節炎など、ほかの原因を考慮して詳しい検査が必要になることがあります。
結核性リンパ節炎
結核菌による感染が原因で、首のリンパ節が腫れる病気です。肺結核に伴ってリンパや血流を介して首のリンパ節に病変が生じる場合や、のどの粘膜からリンパ節に広がる場合があります。
肺にも病変があり、咳で排菌していることもあるため、必要に応じて胸部の検査を行い、肺結核の有無を慎重に評価します。治療は肺結核に準じた抗生物質を使います。
猫ひっかき病
猫や犬に潜んでいるバルトネラ菌という細菌が、ひっかき傷や噛み傷から体内に侵入することで生じる病気です。傷ができてから数日から14日程度ほどで傷口の腫れや水ぶくれがみられ、その後、周囲のリンパ節が腫れてくることがあります。発熱も伴うこともあります。
多くは数週間から数カ月で自然に軽快しますが、症状が強い場合や長引く場合には抗生物質による治療を行うこともあります。
軟部好酸球性肉芽腫(木村病)
主に頭頸部(耳の周囲、あごの下、首など)の皮下に無痛性の柔らかいしこりができる病気です。しこりのある部分の皮膚がやや厚くなることもあります。若年〜中年の男性に多くみられ、日本や東アジアに比較的多い病気です。
詳しい原因は不明ですが、アレルギー反応が関与していると考えられています。
治療としては、ステロイド内服が治療の中心となります。しかし、再発することがあるため、長期的な経過観察が重要です。
クインケ浮腫(血管性浮腫)
皮膚や粘膜の深い部分が急にむくんで腫れる病気です。主に唇・まぶた・舌・のど(喉頭)などに起こり、痒みや赤みは伴いません。
血管から水分が漏れ出て、漏れ出た局所がむくんでしまうことで生じます。
多くは数時間〜数日で自然に軽快しますが、のどに腫れが及ぶと呼吸困難を起こすこともあります。
原因は様々で、以下のものが知られています。
- アレルギー性
- 薬剤性…高血圧の薬、ロキソニンなどが要因となることがあります。
- 遺伝性…ご家族に同様の症状を生じる可能性があります。
- 原因不明(特発性)
治療は原因に応じて行われます。腫れが急に出た場合や、息苦しさ・声のかすれを伴う場合は、早めの受診が重要です。
原発不明頸部転移癌
首のリンパ節が腫れる原因の一つに、癌がリンパ節へ転移している場合があります。稀に、リンパ節に転移が確認されているにもかかわらず、元となる癌(原発巣)が見つからない場合があります。このように、頸部リンパ節に癌の転移が証明されているにもかかわらず原発巣が特定できない状態を「原発不明頸部転移癌」と呼びます。頭頸部癌の約1〜4%を占めるとされています。
原発巣を特定するため、丁寧な診察と必要な検査を行い、転移したリンパ節の病理学的所見から手がかりを探ります。
当院では癌の精査・治療(必要な検査、手術、放射線治療、抗がん剤治療など)は行っておりませんが、適切な専門医療機関をご紹介し、速やかに治療へつながるようサポートいたします。
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫は、リンパ節に存在するリンパ球が悪性化する血液の病気です。首のリンパ節の腫れをきっかけに見つかることがありますが、耳鼻咽喉科領域の癌のリンパ節転移とは異なる病気です。
首のリンパ節の腫れのほか、扁桃(口蓋扁桃や上咽頭)や鼻腔内の腫瘤として発見されることもあります。
当院では悪性リンパ腫に対する専門的な検査・治療は行っておりませんが、必要と判断した場合には、適切な医療機関へ速やかにご紹介し、円滑に治療を受けていただけるよう支援いたします。
顔面神経麻痺
顔の表情を動かす働きを担う「顔面神経」が障害されることで、顔の動きが悪くなる病気を総称して顔面神経麻痺といいます。
原因は多岐にわたりますが、特に多いのは原因不明で発症するベル麻痺と、水痘・帯状疱疹ウイルスが関与するハント症候群で、全体の約2/3を占めるとされています。そのほか、耳の病気、頭部外傷、脳腫瘍、耳下腺腫瘍、内科的疾患などが原因となることもあります。
顔の動きが悪くなるだけでなく、味覚低下、音が響いて聞こえる(聴覚過敏)といった症状がみられることもあります。ハント症候群では、これらに加えて難聴やめまいを伴うことがあります。
急性期にはステロイド治療を行い、あわせて目の保護や顔面のリハビリテーションを併せて行うことが重要です。早期に治療を開始することで、回復の可能性が高まるとされています。ウイルス感染が疑われる場合には、抗ウイルス薬を併用することがあります。
味覚障害
味覚障害には、味が分かりにくくなる・感じなくなる「量的味覚障害」と、本来とは異なる味を感じたり、何もしていなくても味を感じる「質的味覚障害」があります。
原因は多岐にわたり、薬剤の影響、亜鉛不足、感染症、脳腫瘍、加齢、全身疾患、口腔内の病気、心理的要因などが挙げられますが、原因が特定できない場合もあります。また、味覚自体に問題がなくても、嗅覚障害によって食べ物の風味が変わって感じられることがあり、これを「風味障害」と呼びます。
原因に応じて治療を行い、亜鉛やビタミンの補充、薬剤の見直しなどにより改善が期待できる場合があります。
嚥下障害
嚥下(飲み込み)とは、食べ物を口に取り込んでから胃に送られるまでの一連の過程を指します。この過程は、一般的に次の5つの段階に分けて考えられます。
- 先行期:食べ物を認識し、口に運ぶまで
- 準備期:咀嚼し、唾液と混ぜ合わせて食塊をつくるまで
- 口腔期:食塊を口からのどへ送り込むまで
- 咽頭期:のどに送られた食塊を食道へ送り込むまで
- 食道期:食道の蠕動運動で胃へ運ぶまで
嚥下障害は、これらのいずれかに問題が生じ、飲み込みにくさやむせやすさが起こる状態です。
原因としては、脳血管障害、神経疾患、咽頭・食道の病変、加齢による筋力低下などが挙げられます。
耳鼻咽喉科では、口腔から咽頭までを診察し、必要に応じて以下の検査で嚥下機能を評価します。
- 嚥下内視鏡検査(VE):内視鏡でのどを観察しながら、食物の残りや誤嚥の有無を確認します。
- 嚥下造影検査(VF):造影剤入りの食物を透視下で飲み込み、嚥下の動きを評価します。
評価結果に応じて、リハビリテーション・嚥下訓練、食事形態の工夫、誤嚥予防の指導などを行います。嚥下障害は、適切な評価と対策が大切です。
なお、当院ではVE・VFは実施しておりません。必要と判断した場合は、対応可能な医療機関へご紹介いたします。
甲状腺の病気
甲状腺は、首の前方、喉仏のすぐ下にある臓器で、全身の代謝や体温調節、心拍数などを調整するホルモン(甲状腺ホルモン)を産生・分泌しています。耳鼻咽喉科が日常診療で扱う頸部の重要な臓器の一つです。
甲状腺の病気は、大きく①ホルモンの働きに関わる病気(機能異常)と②しこりや腫れなどの器質的な病気に分けられます。機能異常は主に内分泌・代謝内科が、器質的疾患は耳鼻咽喉科や甲状腺外科(外科)が中心となって診療することが多い分野です。
耳鼻咽喉科では、首の腫れやしこり、痛み、飲み込みにくさなどの症状から甲状腺疾患が見つかることがあります。当院では、必要に応じて専門医療機関と連携し、検査や治療が適切に受けられるようご案内いたします。
バセドウ病
バセドウ病は、自己免疫の異常により甲状腺が過剰に刺激され、甲状腺ホルモンが必要以上に分泌される病気(甲状腺機能亢進症)です。
動悸、体重減少、手の震え、暑がり、発汗増加、疲れやすさ、不安感などの症状がみられることがあります。また、甲状腺の腫れや、眼球突出などを伴うこともあります。
血液検査や超音波検査などで診断を行います。治療は内分泌・代謝内科にご紹介し、専門的な管理をお願いしています。
急性化膿性甲状腺炎
細菌感染によって甲状腺に急性の炎症が起こる病気です。特に左側に炎症を繰り返す場合には、下咽頭梨状陥凹瘻(小児に多い先天的な病気で、下咽頭と甲状腺が管でつながっていることもあり、繰り返す炎症の原因になることがあります)との関連が疑われることがあります。
首の前側の強い痛み、腫れ、発赤、発熱を伴うことが多く、痛みは飲み込みや首の動きで強くなることがあります。
血液検査や超音波検査で診断し、抗菌薬による治療を行います。膿がたまっている場合には、専門医療機関での処置が必要となることもあります。
慢性甲状腺炎(橋本病)
橋本病は、自己免疫の異常によって甲状腺に慢性的な炎症が起こる病気です。
初期には自覚症状がほとんどないことも多く、健康診断で甲状腺の腫れや血液検査の異常を指摘されて見つかることがあります。進行すると、甲状腺ホルモンの分泌が低下し、疲れやすさ、寒がり、体重増加、むくみ、便秘などの症状がみられることがあります(甲状腺機能低下症)。
血液検査や超音波検査で診断し、甲状腺機能が低下している場合には、甲状腺ホルモン製剤による補充療法を行います。治療は内分泌・代謝内科にご紹介し、専門的に管理していただきます。
亜急性甲状腺炎
ウイルス感染が関与すると考えられている甲状腺の炎症性疾患です。
風邪症状の後に、首の前側の痛みや腫れ、発熱を伴って発症することが多く、痛みは左右どちらか、または移動することがあります。
甲状腺細胞が破壊されることで、内部のホルモンが漏れ出し、一時的に甲状腺機能亢進症状がみられることがあります。
多くの場合は時間と共に自然に回復するため、対症療法を行いますが、症状が強い場合にはステロイドを使用することがあります。炎症の改善後、甲状腺機能の低下することがあります。
甲状腺腫瘍
甲状腺にできる腫瘍には、良性と悪性がありますが、いずれも初期には目立った症状がないことが多いです。そのため、健康診断で甲状腺の異常を指摘されたり、首のしこりに気づいて受診した際、あるいは別の病気の検査中に偶然発見されることも少なくありません。
診断には超音波検査が重要で、必要に応じて細胞診(針を刺して細胞を採取する検査)を行い、良性か悪性かを評価します。
治療方針は腫瘍の性質や大きさ、経過によって異なり、経過観察が可能な場合もあれば、専門医療機関での手術や治療が必要となる場合もあります。
専門的な治療が必要と判断した場合には、適切な医療機関へご紹介いたします。
めまいの病気
めまいは、日常生活の中でも多くの方が経験する身近な症状です。しかし、その背景には、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎、メニエール病など、様々な疾患が関わっていることがあります。めまいを引き起こす病気は多岐にわたるため、原因を正確に見極め、適切な治療につなげるには、めまい診療に精通した医療機関での評価が重要です。
良性発作性頭位めまい症 (BPPV)
寝返りをうつ、起き上がる、横になるなど、頭の位置を変えたときに短時間の強いめまいが起こる病気です。
耳の奥にある三半規管の中に、本来前庭という別の場所にある「耳石」が入り込むことで、頭の動きに対して過剰な刺激が生じ、めまいが起こると考えられています。
めまいは数秒〜1分程度で自然に治まることが多いですが、吐き気や不快感がしばらく残ることがあります。
多くの場合、耳石は自然に排出されます。症状に応じて抗めまい薬などによる対症療法を行い、必要に応じて耳石を排出するための理学療法(頭位治療)を行うこともあります。
メニエール病
メニエール病は、内耳にリンパ液が過剰にたまる「内リンパ水腫」が原因と考えられている疾患です。精神的・肉体的ストレスや睡眠不足が発作の引き金になることがあります。
主な症状は、回転性めまい・難聴・耳鳴りを繰り返すことで、発作は数十分から数時間続く場合があります。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
メニエール病には、典型的なタイプのほかに次のような亜型もあります。
- 前庭型メニエール病:めまい発作のみを繰り返し、聴覚症状を伴わないタイプ
- 蝸牛型メニエール病:聴覚症状のみを繰り返し、めまいを伴わないタイプ
治療は段階的に行われます。まず、ストレスや睡眠不足を避ける生活指導や薬物療法を行います。改善が乏しい場合や発作を頻繁に繰り返す場合には、中耳加圧療法により内耳のリンパ液排出を促します。それでも効果が不十分な場合には、外科的治療を検討することがあります。
遅発性内リンパ水腫
過去に片側の高度の難聴を発症した方に、数年〜数十年程度経過してから、めまい発作を繰り返し起こす病気です。メニエール病と同じく、内耳のリンパ液が過剰にたまる「内リンパ水腫」が関与していると考えられています。
遅発性内リンパ水腫には、めまい発作のみを繰り返す「同側型」と、めまい発作に加えて健側の難聴も生じる「対側型」があります。
治療はメニエール病に準じた治療を行います。
前庭神経炎
突然、強い回転性のめまいが起こり、数日から1週間程度続く病気です。
平衡感覚を司る「前庭神経」に炎症が起こることで発症すると考えられており、ウイルス感染が関与している可能性も指摘されていますが、明確な原因は分かっていません。
強いめまいや吐き気・嘔吐を伴いますが、通常は難聴を伴わないことが特徴です。
治療は安静を基本とし、抗めまい薬や吐き気止めなどによる対症療法を行います。症状が強い場合には、入院治療が必要となることもあります。
外リンパ瘻
内耳に小さな孔があき、内耳のリンパ液が漏れ出すことで、難聴・耳鳴り・めまいなどが生じる病気です。
飛行機搭乗、潜水、強いいきみ、激しい咳や鼻かみ、頭部外傷、耳の手術などがきっかけになることがありますが、明らかな原因がわからない場合もあります。
「ポン」という音(POP音)や水の流れるような音(流水音)を感じること、耳に圧を加えた際にめまいが生じること(瘻孔症状)などがみられることもありますが、全ての方に当てはまるわけではありません。
診断は、鼓膜の奥から採取した液に含まれる特定の蛋白(CTP)を調べることで行われますが、当クリニックでは行っていないため、高次医療機関へご紹介します。
治療として、まずは安静を保ち、保存的治療を行います。改善しない場合には手術が必要となることがあります。
内耳炎
細菌やウイルス感染により、内耳に炎症が及ぶことで、難聴・耳鳴り・めまい・耳の痛みなどが生じます。
細菌性では中耳炎が、ウイルス性では流行性耳下腺炎や帯状疱疹などが原因となることがあります。
治療は原因に応じて、抗生物質や抗ウイルス薬、ステロイドなどを用いて炎症を抑えます。
早期の診断と治療が重要なため、症状がある場合は早めに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
持続性知覚性姿勢誘発めまい (PPPD)
急性のめまいが治まった後も、3か月以上ふわふわした不安定感がほぼ毎日続く慢性的なめまいです。
人混みやパソコン画面のスクロールなど、複雑な視覚刺激で悪化しやすく、ストレスや疲労も症状に影響します。
平衡感覚の情報処理の乱れや、過去のめまいに対する不安・緊張などが関与していると考えられています。
治療は、病気について理解していただいたうえで、必要に応じて薬物療法や前庭リハビリテーション(めまい体操)を行います。
前庭性発作症
平衡感覚を司る前庭神経が、近くを走る血管に接触・圧迫されることで起こ
る病気です。
数秒から数十秒の短いめまいを繰り返すことが特徴で、めまいの合間は症状がほとんどないことが多いです。
症状の経過を詳しく確認し、必要に応じて聴力検査やMRI検査を行い、総合的に診断します。
神経の興奮を抑える薬による治療が基本です。薬物治療で改善に乏しい場合には、脳神経外科と連携し、血管と神経の接触を解除する手術を検討することがあります。
聴神経腫瘍
聴覚と平衡感覚を司る内耳神経(第8脳神経)に発生する良性腫瘍です。基本的に時間をかけてゆっくり大きくなり(年間1~2mm程度)、神経が圧迫されることで症状が生じます。症状としては片側の難聴・耳鳴り・ふらつきを生じますが、内耳神経は顔面神経の近くにあることから、顔の痙攣や麻痺を生じることもあります。
診断はMRIで行い、必要に応じて脳神経外科と連携し、治療方針を決定します。
前庭性片頭痛
片頭痛に関連して起こるめまいで、片頭痛の症状の一つとしてめまいが生じます。
5分から72時間続くめまいがみられ、めまいの発作の2回に1回程度の頻度で片頭痛を伴います。
はっきりとした原因はわかっていませんが、片頭痛と同様に神経や血管の働きの異常が関与していると考えられています。
生活習慣の調整や内服治療を行い、片頭痛の予防薬や発作時の治療が有効な場合があります。
めまい症
原因疾患が特定できないめまい症状を総称した言葉です。症状に応じて抗めまい薬や生活指導を行い、必要に応じてリハビリで平衡機能を改善します。経過を追っていくことで原因疾患の特定につながることがあります。
動揺病(乗り物酔い)
船や車などの乗り物により生じるめまいで、体の平衡感覚(視覚情報・三半規管・深部感覚)が不一致になることが原因とされています。吐き気や頭痛を伴うこともあり、事前の酔い止め薬服用や遠くを見るなどの工夫が有効とされています。
加齢性前庭障害
加齢に伴って内耳の前庭機能が徐々に低下することで生じるふらつきや不安定感を指します。
高齢者の「なんとなくふらつく」「まっすぐ歩きにくい」といった訴えの背景に多くみられます。
主な治療は、前庭リハビリテーションや転倒予防のための生活指導が中心となります。
声の病気
声は、声帯が振動することで生まれます。その動きは、呼吸、筋肉の緊張、声帯粘膜の状態、神経の働きなど、様々な要素によって支えられています。これらのいずれかに障害が生じると、声がかすれる、声が出しにくい、喉に違和感がある、息苦しさを感じるといった症状が現れることがあります。
声の病気は、声の使い過ぎ、喫煙、感染症、胃酸の逆流、加齢、手術後の神経障害など、日常生活と深く関係しています。適切な声の安静や治療によって改善することもありますが、再発しやすいものや、治りにくかったり、慎重な経過観察が必要な病変も存在します。声の不調は生活の質(QOL)に大きく影響するため、早めの受診と、正しい発声習慣や生活習慣の見直しが大切です。
耳鼻咽喉科では、内視鏡を用いて声帯を直接観察することができます。声について気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
声帯炎
感染症(かぜなど)や声の使い過ぎにより声帯に炎症が起こり、声がかすれる状態です。炎症の程度によっては、喉の痛みや発熱を伴うこともあります。
治療は声の安静や薬による対症療法が中心で、多くの場合、数日から数週間で改善します。
声帯ポリープ
声帯に生じる良性の隆起性病変です。声帯表面の血管が傷ついて出血し、その修復過程でポリープが形成されると考えられています。
片側の声帯に生じることが多く、声のかすれや喉の違和感がみられます。
原因として、声の酷使、喫煙、慢性的な炎症などが挙げられます。
内視鏡検査で診断し、声の安静や禁煙、薬物治療などで経過をみますが、改善が乏しい場合には手術で摘出することがあります。再発予防には、適切な発声指導が有効です。
声帯結節
声帯の前方にできる小さな硬い隆起で、いわゆる「声のタコ」です。教師や歌手、声をよく使うお子さんに多く、両側の声帯に対称性に生じることが一般的です。
慢性的な声の酷使や不適切な発声が原因とされ、声のかすれや喉の違和感がみられます。
治療は声の安静や発声指導が中心で、必要に応じて薬物治療を行います。保存的治療で改善しない場合には、手術を検討することがあります。
ポリープ様声帯
両側の声帯が全体的にむくんで腫れた状態です。長期間の喫煙が主な原因とされ、声帯の血流障害や慢性的な炎症が関与します。
低くかすれた声になることが多く、重症の場合には息苦しさを感じることもあります。
禁煙や声の安静、薬物治療によって改善を図りますが、効果が乏しい場合や症状が強い場合には、手術で腫れた粘膜を除去することがあります。病変が広範囲なため、治療後に声が安定するまで時間を要することがあります。
喉頭肉芽腫
声帯の後方に生じる炎症性の腫瘤です。胃酸の逆流(逆流性食道炎)、声の酷使、気管挿管後の刺激などが原因となることがあります。
喉の違和感や声のかすれが主な症状です。
治療は原因に対する治療(胃酸逆流の治療、声の安静など)が中心で、薬物治療を併用することもあります。保存的治療で改善しない場合には、手術を検討することがあります。
喉頭乳頭腫
ヒトパピローマウイルス(HPV)が関与する良性腫瘍で、声帯やその周囲に乳頭状(カリフラワー状)の病変が生じます。
声のかすれが主な症状ですが、病変が大きくなると気道が狭くなり、呼吸が苦しくなることがあります。
治療は手術による摘出が基本ですが、再発しやすい特徴があり、複数回の治療が必要となる場合があります。
声帯白板症
声帯の粘膜表面に白い斑状の病変が生じる状態で、粘膜の過形成が背景にあります。一部には悪性化の可能性があるため、前癌病変として慎重な対応が必要です。
喫煙や慢性的な炎症、声の酷使などが関与するとされます。
内視鏡検査で確認し、必要に応じて組織検査を行い、悪性の有無を評価します。悪性が否定された場合でも、定期的な経過観察が必要です。
喉頭癌
「喉頭癌」についてはこちらをご確認ください。
反回神経麻痺
声帯を動かす神経(反回神経)が障害され、声帯の動きが悪くなる状態です。
片側の麻痺では、声のかすれや誤嚥(むせ)がみられることがあります。両側の麻痺では、これらの症状に加え、声帯の位置によっては呼吸が苦しくなるリスクがあります。
原因は、頸部や胸部の腫瘍、甲状腺手術、肺の病気、手術時の気管挿管など様々です。呼吸に支障が出る場合には、緊急で気道を確保する処置や手術が必要となることがあります。
機能性発声障害
喉頭や声帯に明らかな器質的異常(見た目の異常)がないにもかかわらず、声の異常(声が出にくい、高い声が出ない、声がつまる・震える、声がかすれる、ささやき声になるなど)が生じる発声障害の総称です。発声に関わる筋肉の過緊張や協調不全、心理的ストレスなどが影響することがあります。
原因として、過度な緊張や脱力、不適切な発声習慣、ストレス、長時間の声の使用などが挙げられます。
内視鏡検査で器質的異常がないことを確認したうえで、発声の状態や声の使い方を評価して行います。
治療は音声治療(発声訓練)が中心で、心理的要因が関与する場合には、環境調整やストレスケアも重要となります。
痙攣性発声障害
発声時に声帯を動かす筋肉が不随意(自分の意思とは関係なく)に過剰収縮してしまう病気です。のどの局所的な神経系の機能異常が関与すると考えられています。
- 内転型:声が途切れる、詰まったような押し出す声になる
- 外転型:声が抜ける、息漏れの多い声になる、声が出にくい
特に会話の際に症状が強く現れることが多く、笑い声やささやき声では比較的症状が軽いことがあります。
音声振戦(声のふるえ)
発声時に声帯がリズミカルに震えることで、声がふるえる状態です。手の震えなどと同じ「振戦(自分の意思とは関係なく体の一部が小刻みに震える症状)」の一種と考えられています。
声が震える、声が安定しない、長く話すと疲れやすいといった症状がみられることがあります。
加齢性声帯萎縮(声帯萎縮)
加齢に伴い声帯の筋肉量が減少し、声帯が薄くなって十分に閉じにくくなる状態です。声帯の閉鎖不全により振動が弱くなるため、声がかすれる、声量が出ない、長く話すと疲れやすいといった症状がみられることがあります。
内視鏡検査で声帯の萎縮や声帯閉鎖不全の有無を確認します。
治療は音声治療による発声トレーニングが基本で、声帯の閉鎖を補う発声方
法の指導を行います。症状が強い場合には、声帯にヒアルロン酸などを注入して閉鎖を改善する治療を行うことがあります。
いびき・無呼吸の病気
いびきや無呼吸と聞くと、多くの方が「睡眠時無呼吸症候群」を思い浮かべるのではないでしょうか。この病気は近年よく知られるようになり、内科など他の医療機関でも診療が行われていますが、上気道(鼻腔〜喉頭)の構造を詳しく評価できる耳鼻咽喉科は、原因の見極めに大きく役立つ診療科です。
さらに耳鼻咽喉科では、上気道の状態に応じて、必要であれば手術による治療アプローチを行うことも可能です。
いびきや無呼吸が気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に反復して気道が狭くなったり、閉塞したりすることで、10秒以上の呼吸停止(無呼吸)が生じる病気です。
大きないびき・無呼吸に加え、日中の強い眠気、疲労感、起床時の頭痛、口の中の乾燥などの症状を認めることがあります。さらに、高血圧、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドローム、心疾患、脳血管疾患の合併症のリスクにもつながる可能性もあります。
詳細に関しましては、こちらもご覧になって下さい。
小児耳鼻咽喉科の病気
お子様は免疫機能が未熟であることに加え、鼻と耳をつなぐ耳管の構造が大人と異なるため、急性中耳炎などの耳鼻咽喉科領域の病気にかかりやすく、何度も繰り返し病気を発症することもよく見受けられます。
小さなお子様の場合、耳や鼻の病気による症状をうまく言葉で伝えられず、病気が悪化してしまうことも少なくありません。
ここでは小児で生じうる疾患についてまとめました。
急性中耳炎
詳細に関しましては、こちらもご覧になって下さい。
滲出性中耳炎
詳細に関しましては、こちらもご覧になって下さい。
先天性難聴:
生まれつき耳が聞こえにくい状態です。頻度は約1,000人に1~2人とされ、約70%が遺伝的要因、約30%が感染症や周産期要因などの非遺伝的要因とされています。
新生児聴覚スクリーニングで早期発見を行います。難聴が疑われた場合は耳鼻咽喉科で精密検査を行い、難聴の診断後は補聴器装用などで聴力を補い、言語発達の支援を行います。
サイトメガロウイルスによる先天性難聴など、徐々に進行する場合もあるので、聞き返しが多い、テレビの音量が大きくしてしまうなど、気になることがありましたらご相談下さい。
小耳症・無耳症:
詳細に関しましては、こちらもご覧になって下さい。
外耳道閉鎖症:
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おたふくかぜ(流行性耳下腺炎):
ムンプスウイルスによる感染症で、唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)が腫れて痛みを生じます。片側もしくは両側が腫れることがあり、7~10日程度持続します。そのほか、合併症としてムンプス難聴、髄膜炎、膵炎、卵巣炎・精巣炎などが起こる場合があるため注意が必要です。
治療は水分補給や鎮痛薬による対症療法が中心です。
合併症予防のため、予防接種(ムンプスワクチン:任意接種)が有効です。
ムンプス難聴
詳細に関しましては、こちらもご覧になって下さい。
小児反復性耳下腺炎
耳下腺の炎症を繰り返す病気です。おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)と似た症状が出ることがありますが、ムンプスウイルスとは関係なく、はっきりとした原因は分かっていません。3〜10歳頃の小児に多く、成長とともに自然に改善し、重い後遺症を残すことはほとんどありません。
片側または両側の耳下腺が周期的に腫れることが特徴で、耳下腺の腫れや痛み、発熱を伴うことがありますが、数日で軽快することが多いです。
治療は痛み止めや水分摂取などの対症療法が中心で、唾液の流れをよくするためのマッサージや口腔内の清潔保持も有効です。細菌感染が疑われる場合には抗菌薬を使用します。
溶連菌感染
詳細に関しましては、こちらもご覧になって下さい。
アデノイド増殖症・扁桃肥大症
3歳頃から扁桃腺の生理的肥大が生じます。アデノイド(咽頭扁桃)や口蓋扁桃が過度に大きくなると、空気の通り道が狭くなり、口呼吸やいびきの原因になります。また、中耳炎の原因となることもあります。
保存療法として、抗ロイコトリエン薬やステロイド点鼻薬で、症状改善が期待できますが、効果には個人差があり、内服中止後に症状が再燃する場合もあります。効果不十分な場合や無呼吸があれば、手術でアデノイドや口蓋扁桃の摘出を行う場合があります。中耳炎を繰り返している場合には、鼓膜チューブ留置を併せて行うこともあります。
手足口病
お子様に多いウイルス感染症です。手足や口腔内に小さな発疹・水疱が生じるのが特徴です。高熱や咽頭痛を伴うこともあります。特効薬はなく、解熱剤や鎮痛剤で対症療法を行い、水分補給で脱水を防ぎます。
ヘルパンギーナ:
お子様に多いウイルス感染症です。口蓋垂周辺に小さな潰瘍ができるのが特徴です。高熱や咽頭痛を伴うこともあります。特効薬はなく、解熱剤や鎮痛剤で対症療法を行い、水分補給で脱水を防ぎます。
起立性低血圧症(起立性調節障害):
思春期に多く見られる、自律神経機能の乱れによって、起立時に血圧低下による起床困難、立ち眩み、倦怠感などの症状が現れます。治療は水分・塩分摂取の調整や生活指導が基本で、必要に応じて内服治療を行います。小児科・内科の先生に診察をお願いすることもあります。
クループ症候群:
小児の喉頭・気管にアレルギー反応やウイルス感染(パラインフルエンザウイルスなど)を生じ、声帯の下(声門下)や気管の粘膜がむくんでしまう病気です。
犬の吠えるような乾いた咳(犬吠様咳嗽)や、ヒューヒューという呼吸音(吸気性喘鳴)がみられるのが特徴です。高熱を伴うことがあります。まれにではありますが、重症例では、窒息となる場合もあります。
診断は症状や診察所見をもとに行い、必要に応じて内視鏡で確認することがあります。
ネブライザーやステロイドを用いて炎症を抑えて気道を広げます。必要に応じて抗菌薬の処方も行います。稀ではありますが、呼吸状態が悪化する場合には入院での呼吸管理や緊急処置が必要となる場合もあります。
気道異物
小さな異物(食べ物や小物)を誤って吸引し、気管・気管支に詰まらせる状態です。生後6か月から3歳時頃の乳幼児や高齢者に多く、おもちゃ、豆類(ピーナッツや節分の豆など)、お餅、入れ歯などがよく言われます。
突然の激しい咳、チアノーゼ(顔が青白くなる)、喘鳴(呼吸がゼーゼーする)、呼吸困難などがみられます。診断には胸部の画像検査を行い、異物を確認した場合には取り除きます。迅速な処置が必要です。
百日咳
百日咳菌による感染症で、初期は風邪のような症状から始まり、次第に激しい連続性咳嗽(痙咳)になります。咳の後に「ヒューッ」という笛声が聞かれることがあります。小児では脳症や肺炎を起こすこともあり注意が必要です。全経過で約2~3か月で回復するとされています。
抗菌薬で治療します。予防として、ワクチン接種(五種混合ワクチン、定期接種)が有効です。
麻疹(はしか):
麻疹ウイルスによる感染症で、高熱・目の充血・鼻水・咳などのような風邪に似た症状の他、口腔・咽頭に白色の粘膜疹(コプリック斑)、全身に紅斑性発疹が特徴的です。肺炎や脳炎を合併する場合もあります。
非常に感染力が強い病気で、空気感染(同じ空間にいるだけで感染する)を起こします。
治療は対症療法が行われます。ワクチン(MRワクチン、定期接種)で予防します。
風疹
風疹ウイルスによる感染症で、発熱・軽度の風邪のような症状の他、首や耳の後ろのリンパ節腫脹、全身に赤い発疹が広がります。麻疹と比べると症状が軽いことが多いですが、妊娠初期に感染すると胎児に先天性風疹症候群を起こす可能性があり、注意が必要です。
治療は対症療法が行われ、麻疹と同じくワクチン(MRワクチン、定期接種)で予防します。
舌小帯短縮症:
舌を支える舌小帯が短い状態です。自分で症状を訴えることはありませんが、乳児期には母乳授乳不良、成長後は構音障害(ラ行、タ行、サ行)の原因となります。成長とともに改善することも多いですが、乳児の授乳困難が顕著な場合や、学童で構音障害が出る場合は、比較的短時間の手術で改善が期待できる場合があります。
正中頸嚢胞:
首の正面にできる先天性の袋状の病変です。本来は生後に閉鎖し消失するはずの甲状舌管という管(甲状腺が形成され、本来の首の位置に移動する際にできる管)が残り、腫脹して嚢胞となって形成されます。
普段は無症状ですが、感染を繰り返すと痛みや発赤を伴い、大きくなることがあります。このタイミングで気づかれることもあります。
根治には嚢胞を含めた甲状舌管を手術で摘出します。
側頸嚢胞
首の側面にできる先天性の袋状の病変です。正中頸嚢胞と同じく、本来は閉鎖し消失するはずの管(鰓)の遺残とされます。
多くは無症状で、頸部のしこりとして気づかれることが多いです。
根治には嚢胞を含めた管を手術で摘出します。
下咽頭梨状陥凹瘻
主にのどから甲状腺の間に管が残る病態です。左側にできることが多く、管に感染を生じることで、再発を繰り返す甲状腺炎の原因となることがあります。再発性の甲状腺炎より下咽頭梨状陥凹瘻の可能性を疑うこともあります。
甲状腺炎の治療としては、抗生物質を使用します。下咽頭梨状陥凹瘻自体の治療としては、経口的に薬剤などにより瘻管入口部を遮断します。また、瘻管の摘出を行う場合もあります。
女性・妊婦の方の病気
妊娠・出産の時期は、ホルモンや免疫機能を含め、母体に変化が生じやすい時期であります。その結果、耳・鼻・喉などに様々な症状が生じ得ます。多くの症状は一時的で、出産後に改善すると言われていますが、突発性難聴や副鼻腔炎など、治療が必要な疾患が隠れている場合もあります。また、胎児に影響する可能性のある感染症(先天性サイトメガロウイルス感染症、先天性風疹症候群など)にも耳鼻咽喉科が関わることがあります。
妊娠中・授乳期でも行える治療はありますので、症状が続く場合や不安がある際は、どうぞお気軽にご相談ください。
先天性サイトメガロウイルス感染症
サイトメガロウイルス(CMV)は、ごく一般的なウイルスで、多くの方が乳幼児期に感染し、抗体を持っている身近なウイルスです。妊娠中に初めてCMVに感染した場合や、免疫力の低下などにより体内のウイルスが再活性化した場合、胎盤を通じて胎児に感染することがあり、これを先天性サイトメガロウイルス感染症と呼びます。
胎児がCMVに感染した場合、低出生体重、小頭症、黄疸、脳内石灰化、難聴などの症状がみられることがあります。一方で、出生時には症状がなく、成長後に遅発性・進行性の難聴がみられる場合もあるため、注意が必要です。
感染経路は、唾液・尿・血液・性分泌液などで、特に1〜3歳の幼児の尿・唾液にウイルス量が多く、乳幼児との濃厚な接触を通じて感染することが多いとされています。
先天性感染が疑われる新生児では、生後3週間以内であれば尿検査による診断が可能です。3週間を過ぎた場合は、保存されている乾燥臍帯(へその緒)などを用いて検査が行われることがあります。
治療として、症状がある新生児に対して抗ウイルス薬が用いられる場合もありますが、最も重要なのは妊娠中の感染予防です。感染予防のために、以下の点が勧められています。
- 石けんやアルコールによるこまめな手洗い
- 子どもとの食器・食べ物・タオルの共有を避ける
- おむつ交換後の手洗いを徹底する
正しい知識を持ち、過度に心配しすぎず、日常生活の中でできる予防を心がけることが大切です。
先天性風疹症候群
風疹に対する抗体を持たない妊婦の方が風疹に感染し、胎盤を通じて胎児にウイルスが感染することで生じる病気です。
胎児にみられる主な症状として、難聴、先天性心疾患、白内障が「三大症状」として知られています。一般的に、
- 先天性心疾患や白内障は妊娠初期(特に妊娠3か月以内)の感染
- 難聴は妊娠中期(おおよそ妊娠6か月頃まで)の感染
- トータルして妊娠20週頃まで
で起こる可能性が高いとされています。
現在、胎児への感染を治療する確立された治療法はありません。そのため、ワクチン接種による予防が非常に重要です。妊娠を希望される方は、事前に抗体の有無を確認することが勧められます。
亜急性壊死性リンパ節炎(菊池病)
38℃台の発熱と、痛みを伴う頸部(首)のリンパ節腫脹(片側性が多い)を特徴とする病気です。発症前に、風邪のような症状がみられることもあります。
10~30代の若い女性に比較的多いとされている病気です。
確定診断はリンパ節生検によって行われますが、侵襲を伴う検査であるため、血液検査や臨床経過から総合的に判断し、治療を行うことも多くあります。
多くの場合、1週間から2か月程度で自然に軽快するため、治療は解熱鎮痛薬などの対症療法が中心となります。症状が強い場合には、ステロイド内服治療が行われることもあります。
再発は数%程度と報告されています。
妊娠中の鼻炎(妊娠性鼻炎)
妊娠中は、ホルモンバランスの変化により鼻粘膜が腫れやすくなり、アレルギーがなくても鼻づまりや鼻水が続くことがあります。これを「妊娠性鼻炎」と呼びます。風邪やアレルギー性鼻炎と似た症状を呈しますが、発熱や強い痛みを伴わないことが多く、出産後に自然に改善するケースが多いのが特徴です。妊娠中は使用できる薬剤に制限があるため、症状に応じて生活指導や安全性に配慮した治療を行います。
妊娠中・産後のめまい
妊娠中や産後は、
- ホルモン変動
- 血圧や自律神経の変化
- 睡眠不足や疲労
- 鉄分の欠乏
などの影響により、ふらつきやめまいを感じることがあります。
「めまいの病気」が隠れている可能性もあるので、必要に応じて耳鼻咽喉科での評価もご検討ください。妊娠週数や症状に応じ、安全性を考慮した対応を行います。
妊娠中・産後の難聴・耳閉感
妊娠や出産に伴う体内の水分バランスやホルモン変化により、耳が詰まった感じ(耳閉感)や聞こえにくさを自覚することがあります。
多くは一時的ですが、突発性難聴や中耳炎など、早期対応が必要な病気が隠れていることもあるため、症状が続く場合は早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
妊娠中の中耳炎・外耳炎
妊娠中は体調や免疫状態の変化により、中耳炎や外耳炎を発症しやすくなることがあります。
発熱や耳の強い痛みを伴う場合は、母体・胎児の安全性を考慮しながら、治療を行います。妊娠中でも使用できる薬剤があるので、是非耳鼻咽喉科を受診してください。
妊娠中の味覚障害・嗅覚障害
妊娠初期を中心に、味が変わった、匂いに敏感になった/感じにくくなった
といった症状を訴える方がいます。
多くはホルモンの影響による一過性の変化のため、出産後に改善することが多いですが、鼻副鼻腔炎などの疾患が隠れていないか確認することも大切です。気になるようであれば、耳鼻咽喉科の受診をご検討ください。
妊娠中・授乳期の咽頭炎・声のトラブル
妊娠中は、
- 免疫バランスの変化
- つわりに伴う胃酸逆流の影響
- 乾燥や睡眠不足
などにより、喉の痛み・違和感・声枯れを生じることがあります。
必要に応じて、薬物療法に頼りすぎないケア(加湿、発声指導など)を含めた対応を行います。
性感染症の病気
性感染症は主に性行為によって感染する病気ですが、のどにも感染し、症状が現れることがあります。
のどの性感染症は、無症状で経過したり、風邪に似た軽い症状のみの場合も多く、気づかれにくいのが特徴です。症状が長引く場合や、通常の治療で改善しない場合には、原因の一つとして性感染症の可能性も考慮し、適切な検査を行います。
当院では、プライバシーに十分配慮しながら診療を行っています。気になる症状がある場合は、どうぞ安心してご相談ください。
梅毒(口腔・咽頭梅毒)
梅毒は、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)によって起こる性感染症で、口やのどにも感染することがあります。病気は段階的に進行します。
第I期
感染部位(性器・口・のど)に、アズキ大の硬いしこり「初期硬結」ができます。数日後、中心がくずれて「硬性下疳」と呼ばれる潰瘍になります。
痛みを伴わないことが多いのが特徴です。
第II期
のどに粘膜疹や赤いただれが現れ、広がると蝶が羽を広げたような形「butterfly appearance」になります。
皮膚にも症状が出現し、ピンク〜赤色の斑点「バラ疹」が全身にみられます。
その後、茶褐色の隆起した皮疹「丘疹性梅毒」が手足を中心に出ることがあります。
また、湿ったいぼ状の病変「扁平コンジローマ」がみられることもあります。
第III期/IV期
稀に治療されずに長期間経過した場合、一時的に症状が落ち着いた後、再び全身症状が現れます。
皮膚や筋肉などにゴムのような柔らかいしこり「ゴム腫」ができ、えぐれて消失します。また心臓や脳神経に障害が起こることがあります。
現在では、早期に診断し適切な抗菌薬治療を行うことで、多くの場合は治癒が可能です。
淋菌感染症
淋菌がのどに感染することで起こる病気です。のどの症状は多くは無症状といわれています。症状があっても特徴的なものはなく、微熱、軽度のどの痛み、扁桃の赤みがみられる程度とされています。
風邪や通常の咽頭炎と区別がつきにくく、検査で偶然見つかることもあります。症状が続く場合や、治療しても改善しない場合には、注意が必要です。
抗菌薬で治療を行います。
クラミジア感染症(咽頭クラミジア)
クラミジアがのどに感染することで起こる病気です。多くが無症状で、症状を認めても、喉の違和感や乾いた咳程度といわれています。そのため、気づかれにくく、知らないうちに感染が続いてしまうことがあります。
局所所見からは診断しにくく、症状が続く場合や、治療しても改善しない場合には、注意が必要です。
抗菌薬で治療を行います。
HIV感染症(AIDS)
HIV感染では、ウイルス自体が直接のどに感染するわけではありませんが、免疫力が低下することで、口腔カンジダ症、口内炎、首のリンパ節の腫れなどが繰り返し起こることがあります。
感染初期には、発熱やのどの痛み、全身のだるさなど、かぜに似た症状がみられることもあります。症状が続く場合や通常と異なる経過の場合には、原因を調べるための検査が必要になることがあります。
ヘルペス性口唇炎・咽頭炎
単純ヘルペスウイルス(HSV)は、一般的な口唇ヘルペスのほか、性行為を介して感染することもあります。
性行為を介して感染した場合には、発熱のほか、口唇、歯肉、咽頭に激しい水ぶくれや痛みを伴う潰瘍ができます。
抗ウイルス薬による治療を行います。
HPV(ヒトパピローマウイルス)関連疾患
HPVが口腔や咽頭に感染すると、乳頭腫と呼ばれる小さなできものが生じることがあります。多くは良性で、喉頭乳頭腫が代表的ですが、一部のタイプでは咽頭癌との関連が指摘されています。
できものが大きくなる、数が増える、長期間変化がない場合などには、詳しい検査が必要になることがあります。
伝染性単核球症(EBV)
発熱や強いのどの痛み、首のリンパ節腫脹を伴うウイルス感染症です。
詳しくは「伝染性単核球症」のページをご参照ください。